はじめに
動物看護師国家試験は、動物医療チームの一員として働く上で必要不可欠な知識と技能を問う大切な試験です。私は獣医師として日々の診療に携わる中で、多くの動物看護師と一緒に仕事をし、看護師さんたちの知識と判断力が動物の命を守る上でいかに重要かを痛感してきました。だからこそ、国家試験を目指す皆さんに、現場を知る獣医師の視点から勉強法や心構えをお伝えしたいと思います。
獣医師から見た「現場で活きる知識」とは?
国家試験の出題範囲は幅広く、暗記項目も多いと思います。
ただし、すべてを丸暗記するのではなく、知識を“関連づけて”理解し、現場で応用できる力を身につけることが大切です。
例えば薬理学では、単に薬の名前や作用を覚えるだけでなく、「この薬はなぜこの動物に使うのか」「副作用にはどんなものがあり、どう観察するか」まで理解することです。臨床看護学では、保定の方法、バイタルチェックの意義、緊急時の初期対応の基本など、現場の即戦力となる知識が問われます。
獣医師がすすめる勉強法
01:知識を関連づける
「体の仕組み(解剖・生理)」と「病気の症状」「治療法」を結びつけて覚えることで、単なる暗記ではなく“理解”が深まります。
02:アウトプットを重視する
問題を解くだけでなく、仲間に説明してみる、図にまとめてみるなど、自分の言葉で表現することで定着します。勉強会を開くのも有効です。
03:現場経験と結びつける
実習やアルバイト、実際の勤務で得た経験を、試験範囲の知識とリンクさせて振り返ると、学びが実感を伴うものになります。「このとき見たのがあの症例か」と気づくと記憶に残りやすくなります。
04:弱点は早めに潰す
試験直前に焦ることのないよう、苦手科目や分野は早めに重点的に取り組みましょう。
獣医師から見た「頼られる動物看護師」とは?
私たちが現場で「頼りになる」と感じる看護師には、いくつかの共通点があります。
- 知識とともに“現場感覚”を持っている
- 状況を見て、獣医師の意図を汲み取れる(今準備すべき器具や薬等がすぐ思いつく)
- 飼い主さんとのコミュニケーション能力
- わからないことをそのままにせず、確認できる勇気
最後に:合格のその先へ
国家試験は、知識を身につけるためのきっかけです。
合格後、現場で経験を重ね、判断力や応用力を養っていくことが求められます。そして何より、動物とその家族の気持ちに寄り添える“心”を持った看護師であってほしいと願っています。
皆さんが試験に合格し、頼れる動物看護師として羽ばたく日を、心から応援しています。
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