【全問解説】第2回 動物看護師 国家試験 一般問題

Contents

問 1

動物福祉基準である「5つの自由」でないのはどれか。

  1. 正常行動を発現する自由
  2. 孤独からの自由
  3. 飢えと渇きからの自由
  4. 不快からの自由
  5. 痛み、負傷、病気からの自由
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正解:

解答のポイント:
「5つの自由(The Five Freedoms)」は、動物が人間の管理下で生活する際に保障されるべき基本原則であり、「孤独からの自由」はこれに含まれていません。他の選択肢はいずれも正式な「5つの自由」の一部です。

  1. 飢えと渇きからの自由
    適切な食餌と清潔な水を常に得られること。
  2. 不快からの自由
    適切な環境(シェルターや快適な休息場所)を提供されること。
  3. 痛み、負傷、病気からの自由
    予防や迅速な診断・治療を受けられること。
  4. 正常な行動を発現する自由
    十分な空間、適切な施設、同種の仲間との交流が可能であること。
  5. 恐怖や抑圧からの自由
    精神的な苦痛やストレスから解放されていること。

重要度:★
孤独からの自由

「孤独からの自由」は「5つの自由」には明示されていません。ただし、社会性動物に対する配慮として「正常な行動の発現の自由」に含まれることもあります。

問 2

わが国における愛玩動物の福祉に関する記述として正しいのはどれか。

  1. 飼育放棄により殺処分される犬や猫の数は年々増加している。
  2. 飼い主のいない犬の殺処分回避策として TNR 活動が行われている。
  3. 飼い主のいない猫への対策として地域猫活動が行われている。
  4. 犬や猫の販売は生後 5 週齢未満までに行う。
  5. 動物虐待は法令により規制されていない。
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正解:

解答のポイント:
地域猫活動は、日本において飼い主のいない猫の繁殖抑制と地域との共生を目的とした取り組みです。TNR活動も猫に対して行われますが、犬に対しては一般的ではありません。また、生後8週齢未満の犬猫の販売は禁止されており、動物虐待は法令で厳しく規制されています。

重要度:★
飼い主のいない猫への対策として地域猫活動が行われている。

地域猫活動は、TNRと地域住民の協力によって猫の数を抑え、共生を目指す取り組みです。

問 3

「動物実験に用いられる動物の苦痛やストレスを軽減する」ことは、実験動物の福祉である3Rの原則のどれに該当するか。

  1. Reduction
  2. Refinement
  3. Responsibility
  4. Replacement
  5. Remembrance
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正解:

解答のポイント:
「3Rの原則」は、動物実験における動物福祉向上を目的としており、「Refinement」はそのうちの1つで、動物に与える痛みやストレスを軽減することを意味します。1959年にラッセルとバーチによって提唱された概念で、他にReplacement(代替)とReduction(削減)があります。

重要度:★
Refinement

動物実験において、痛みやストレスを軽減するための手法や環境の工夫を行うことを意味します。

問 4

細胞内で不要になった物質を分解する細胞小器官はどれか。

  1. リソソーム
  2. ミトコンドリア
  3. ゴルジ体
  4. リボソーム
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正解:

解答のポイント:
リソソームは細胞内の不要物や老化した細胞小器官を分解する働きを持ち、加水分解酵素を含む酸性環境によって恒常性維持に貢献します。他の選択肢はそれぞれ異なる役割を持つ細胞小器官です。

重要度:★
リソソーム

リソソームは加水分解酵素を含み、不要物や細胞内の老廃物を分解する役割を担います。

問 5

mRNA からタンパク質を合成する過程はどれか。

  1. 転写
  2. 翻訳
  3. 複製
  4. 修復
  5. スプライシング
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正解:

解答のポイント:
mRNAに記された遺伝情報をもとにアミノ酸が連結され、タンパク質が合成される過程は「翻訳(Translation)」です。リボソームがこの翻訳の場となります。

重要度:★
翻訳

mRNAに基づきリボソームがアミノ酸を連結し、タンパク質を合成する過程です。

問 6

犬や猫の心臓に関する記述として正しいのはどれか。

  1. 左心室を出た血液は肺動脈に流れる。
  2. 右心室を出た血液は肺静脈に流れる。
  3. 左心房と左心室の間に僧帽弁がある。
  4. 右心房と右心室の間に二尖弁がある。
  5. 心室の出口には弁は無い。
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正解:

解答のポイント:
犬や猫の心臓では、左心房と左心室の間に僧帽弁(別名:二尖弁)があり、血液の逆流を防ぎます。他の選択肢は、心室の出口の弁や血流経路の誤り、弁の名称の誤認などがあります。

重要度:★
左心房と左心室の間に僧帽弁がある。

僧帽弁は左心房と左心室の間にあり、逆流を防ぎながら一方向の血流を確保します。

問 7

呼吸に関する記述として誤っているのはどれか。

  1. 呼吸中枢は橋と延髄にある。
  2. 横隔膜の収縮は吸気を促す。
  3. 外肋間筋の収縮は呼気を促す。
  4. 呼気中の二酸化炭素濃度は吸気中より高い。
  5. 血中酸素分圧の低下は換気を促進する。
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正解:

解答のポイント:
外肋間筋の収縮は吸気を促す働きがあります。肋骨を持ち上げて胸腔を広げ、肺に空気を取り込むのを助けます。呼気は主に筋の弛緩による受動的な運動であり、強制呼気には内肋間筋や腹筋群が関与します。

重要度:★
外肋間筋の収縮は吸気を促す。

外肋間筋は肋骨を引き上げて胸腔を拡大するため、吸気に関与します。呼気は通常、筋の弛緩により受動的に行われ、強制呼気には内肋間筋や腹筋が関与します。したがってこの記述は誤りです。

問 8

犬で胆管と膵管が開口する部位はどれか。

  1. 食道
  2. 十二指腸
  3. 回腸
  4. 結腸
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正解:

解答のポイント:
胆管(総胆管)と膵管は、消化液である胆汁と膵液をそれぞれ運び、十二指腸に開口します。この開口部は大十二指腸乳頭(major duodenal papilla)と呼ばれ、消化に重要な役割を果たします。

重要度:★
十二指腸

胆管と膵管はどちらも十二指腸の大十二指腸乳頭に開口し、胆汁と膵液を消化管に排出する役割を担います。正しい記述です。

問 9

膜透過性が無く、受容体が細胞膜上にあるホルモンはどれか。

  1. アルドステロン
  2. テストステロン
  3. コルチゾール
  4. エストロゲン
  5. セクレチン
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正解:

解答のポイント:
ホルモンの受容体の位置は、その分子の性質(脂溶性か水溶性か)によって決まります。脂溶性ホルモン(ステロイドホルモンなど)は細胞膜を通過して細胞内受容体に結合し、水溶性ホルモン(ペプチドホルモンなど)は細胞膜を通過できず、細胞膜上の受容体に作用します。セクレチンは水溶性のペプチドホルモンであり、膜上受容体に結合します。

重要度:★
セクレチン

セクレチンは水溶性のペプチドホルモンであり、細胞膜上に存在する受容体と結合して作用します。よって正解です。

問 10

血圧調節に関わっていないホルモンはどれか。

  1. バソプレシン
  2. パラソルモン
  3. アンジオテンシンⅡ
  4. 心房性ナトリウム利尿ペプチド
  5. アドレナリン
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正解:

解答のポイント:
パラソルモン(副甲状腺ホルモン)は血中カルシウム濃度の調節に関わるホルモンであり、血圧には直接的な影響を及ぼしません。一方、バソプレシン・アンジオテンシンⅡ・ANP・アドレナリンはいずれも血圧の上昇または下降に直接関与するホルモンです。

重要度:★
パラソルモン

パラソルモンは血中カルシウム濃度の調節に関与しますが、血圧の調節には直接関与しません。したがって、この設問の正解です。

問 11

腎臓で尿が作られる経路として正しいのはどれか。

  1. 腎小体 → ヘンレのワナ → 近位尿細管 → 集合管 → 遠位尿細管
  2. 腎小体 → 近位尿細管 → 集合管 → ヘンレのワナ → 遠位尿細管
  3. 腎小体 → ヘンレのワナ → 近位尿細管 → 遠位尿細管 → 集合管
  4. 腎小体 → 近位尿細管 → ヘンレのワナ → 遠位尿細管 → 集合管
  5. 腎小体 → ヘンレのワナ → 集合管 → 近位尿細管 → 遠位尿細管
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正解:

解答のポイント:
腎臓での尿生成の順路は、まず腎小体(糸球体+ボウマン嚢)で血液が濾過され原尿が生成され、近位尿細管で水・電解質・栄養素が再吸収されます。その後、ヘンレのワナで尿の濃縮と希釈が行われ、遠位尿細管でさらに調整された後、集合管で最終的な尿の濃度が決定され腎盂へ送られます。したがって、正しい順番は④です。

重要度:★
腎小体 → 近位尿細管 → ヘンレのワナ → 遠位尿細管 → 集合管

この経路が尿生成の正しい順序です。腎小体→近位尿細管→ヘンレのワナ→遠位尿細管→集合管の順で処理が進みます。

問 12

交感神経の作用はどれか。

  1. 瞳孔の収縮
  2. 心拍数の増加
  3. 気管支の収縮
  4. 胃液の分泌亢進
  5. 腸の運動亢進
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正解:

解答のポイント:
交感神経は「闘争・逃走(fight or flight)」反応を司る神経で、身体を緊急事態や活動時に適応させる働きをします。代表的な作用として、心拍数の増加、気管支拡張、瞳孔散大、消化管運動と分泌の抑制などがあります。したがって、「心拍数の増加」が正しい選択です。

重要度:★★★
心拍数の増加

交感神経は心臓の活動を活性化させ、心拍数を増加させることで血流を増やし、活動状態に適応します。正しい記述です。

問 13

軸椎はどれか。

  1. 第一頚椎
  2. 第二頚椎
  3. 第一胸椎
  4. 第二胸椎
  5. 第一腰椎
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正解:

解答のポイント:
第二頚椎は「軸椎(axis)」と呼ばれ、歯突起(dens)という特徴的な突起をもち、第一頚椎(環椎)と連動して頭部の回旋運動を可能にします。第一頚椎は「環椎(atlas)」であり、上下運動(うなずく動作)を担います。胸椎や腰椎は軸椎とは関係がありません。

重要度:★
第二頚椎

第二頚椎は「軸椎(axis)」と呼ばれ、歯突起(dens)によって第一頚椎と連結し、頭の回旋運動を可能にします。正しい選択です。

問 14

免疫担当細胞に関する記述として正しいのはどれか。

  1. 好中球は脾臓で産生される。
  2. リンパ球は骨髄で産生される。
  3. リンパ球は胸腺でBリンパ球になる。
  4. 形質細胞はTリンパ球が変化した細胞である。
  5. マクロファージは抗体を産生する。
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正解:

解答のポイント:
リンパ球(B細胞・T細胞の前駆細胞)は骨髄で造られます。B細胞は骨髄で成熟し、T細胞は胸腺で成熟します。

重要度:★
リンパ球は骨髄で産生される。

リンパ球(B細胞・T細胞の前駆細胞)は骨髄で産生されます。B細胞は骨髄で成熟し、T細胞は胸腺で成熟します。

問 15

回転加速度を感知する部位はどれか。

  1. 半規管
  2. 蝸牛
  3. 球形嚢
  4. 卵形嚢
  5. 耳小骨
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正解:

解答のポイント:
半規管は内耳の前庭器に属し、回転加速度(頭部の回転運動)を感知します。三方向に配置された半規管は、内リンパ液の流れによって感覚毛を刺激し、回転運動の情報を脳に伝えます。一方、球形嚢・卵形嚢は直線加速度(上下・前後の動き)を感知し、蝸牛は聴覚に関与、耳小骨は音の伝達に関与します。

重要度:★
半規管

半規管は頭部の回転運動に伴う回転加速度を感知します。三つの半規管はそれぞれ異なる空間方向に対応し、平衡感覚に重要な役割を果たします。

問 16

雄猫の副生殖腺はどれか。

  1. 精嚢腺
  2. 凝固腺
  3. 前立腺
  4. 尿道球腺
  5. 包皮腺

. a, b . b, c . c, d . d, e . a, e

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正解:

解答のポイント:
雄猫の副生殖腺は、前立腺(c)尿道球腺(d)の2つです。
精嚢腺(a)や凝固腺(b)は猫には存在せず、包皮腺(e)はフェロモン分泌には関与しますが副生殖腺には分類されません。

重要度:★★
前立腺

猫の前立腺は精液にpH調整成分や酵素を分泌する重要な副生殖腺です。

問 17

犬の発情期の平均期間はどれか。

  1. 5日
  2. 10日
  3. 20日
  4. 30日
  5. 50日
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正解:

解答のポイント:
犬の発情周期は「無発情期 → 発情前期 → 発情期 → 発情後期」の順に進行します。このうち「発情期(estrus)」は、オスの交尾を受け入れる期間であり、平均約9〜10日間持続します。設問が指しているのはこの「発情期」単体の期間であり、正解は②の「10日」です。

重要度:★★
10日

発情期は平均して約9〜10日間で、交尾を受け入れる時期です。正しい選択です。

問 18

猫の平均妊娠期間はどれか。

  1. 45日
  2. 67日
  3. 88日
  4. 115日
  5. 210日
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正解:

解答のポイント:
猫の妊娠期間は平均して63〜65日、幅をもたせて62〜67日程度です。交尾誘発排卵のため、妊娠期間は交配日から数えます。選択肢②の「67日」がこの範囲内で最も妥当です。

重要度:★★★
67日

猫の妊娠期間の上限に近い妥当な値で、実際の臨床でもよく見られる日数です。正しい選択です。

問 19

最も早期かつ安全に評価できる猫の妊娠診断法はどれか。

  1. X線検査法
  2. 腹部触診法
  3. 超音波検査法
  4. 腟スメア法
  5. CT検査法
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正解:

解答のポイント:
猫の妊娠診断として、最も早期かつ安全・確実に行えるのは超音波検査法(エコー)です。妊娠15日頃から胚胞の確認が可能で、20日頃には心拍も確認でき、放射線被ばくもなく安全性が高い点が特長です。

重要度:★
超音波検査法

妊娠15日頃から胚胞が確認でき、胎児心拍も20日頃から観察可能。安全かつ早期診断ができるため、最も推奨される方法です。

問 20

難産を起こしやすい犬種はどれか。

  1. ビーグル
  2. ゴールデン・レトリーバー
  3. ブルドッグ
  4. トイ・プードル
  5. マルチーズ
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正解:

解答のポイント:
ブルドッグは短頭種で頭部が大きく、また母犬の骨盤が狭いため、胎児の通過が困難となり難産が非常に多く見られます。多くの場合で帝王切開が必要とされるため、代表的な難産犬種として知られています。

重要度:★★
ブルドッグ

胎仔の頭部が大きく、母体の骨盤も狭いため自然分娩が困難であり、難産が非常に多い犬種です。帝王切開が必要になるケースが一般的です。

問 21

猫の排泄行動に関する記述として正しいのはどれか。

  1. 新生子期から自力で排泄することができる。
  2. 通常は排泄前に穴を掘る行動がみられる。
  3. 成猫では1日の排便回数は通常4~5回である。
  4. マーキングは去勢済みの雄のみにみられる。
  5. トイレ以外の場所に排尿することはない。
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正解:

解答のポイント:
猫は排泄前に砂を掘るような仕草をするのが一般的です。これは野生時代の「排泄物を埋めてにおいを隠す」習性に由来します。

重要度:★
通常は排泄前に穴を掘る行動がみられる。

猫は排泄前に砂を掘るような仕草(掘削行動)を行うことが多く、正常な習性です。

問 22

犬の学習に関する記述として正しいのはどれか。

  1. 学習の速さには犬種による違いがある。
  2. 高齢犬の方が若齢犬よりも学習が速い。
  3. 静かな環境の方が刺激が多い環境よりも学習が遅い。
  4. 学習により変化した行動を生得的行動という。
  5. 訓練経験の無い犬の方が高度な学習を達成しやすい。
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正解:

解答のポイント:
犬の学習能力には犬種間で明らかな違いがあり、知能・作業意欲・集中力に差があるため、学習の速さにも影響します。

重要度:★
学習の速さには犬種による違いがある。

犬種によって学習能力や集中力、作業意欲に差があり、例えばボーダーコリーやプードルは高い学習能力を示す一方、バセット・ハウンドなどは習得に時間を要します。

問 23

動物の行動修正における脱感作に関する記述として正しいのはどれか。

  1. オペラント条件づけを利用した手法である。
  2. 問題行動を引き起こす刺激に馴らすことである。
  3. 刺激の種類が多い状況ほど有効である。
  4. できるだけ大きな刺激から曝露を行う。
  5. 刺激に曝露させる頻度は低い方がよい。
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正解:

解答のポイント:
脱感作(desensitization)は、恐怖や不安などの過敏な反応を引き起こす刺激に対し、段階的に慣らすことで感情反応を弱める行動療法です。

重要度:★
問題行動を引き起こす刺激に馴らすことである。

脱感作は、恐怖や不安を引き起こす刺激に徐々に慣らし、反応を軽減させる行動修正法です。例として、雷が苦手な犬に対して小さな音から段階的に慣らすなどがあります。

問 24

犬の食性、嗜好、摂食行動に関する記述として正しいのはどれか。

  1. 間欠採食者である。
  2. 雑食動物である。
  3. 新鮮肉食者である。
  4. 単独捕食者である。
  5. 苦味を好む。
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正解:

解答のポイント:
犬は「間欠採食者」かつ「雑食動物」であり、肉食傾向は強いものの炭水化物や植物性のものも食べられる進化を遂げている。

重要度:★
間欠採食者である。

犬は間欠採食者で、1日1~2回の食事が自然なスタイル。

問 25

犬のライフステージと栄養学上の留意点の組合せとして正しいのはどれか。

  1. 成長期   ー 高エネルギーのフードが適切である。
  2. 成長期   ー 総合栄養食にカルシウムの添加が必須である。
  3. 妊娠期   ー 授乳期よりもエネルギー要求量は高い。
  4. 授乳期   ー 低脂肪のフードが適切である。
  5. 高齢期   ー 維持期よりもエネルギー要求量は低い。
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正解:

解答のポイント:
成長期には高エネルギーが、高齢期には低エネルギーが基本。総合栄養食には必要な栄養素がすでに含まれているため、過剰添加は逆効果。

重要度:★
高齢期   ー 維持期よりもエネルギー要求量は低い。

高齢になると代謝が落ちるため、維持期よりもエネルギー要求量が少なくなります。

問 26

糖尿病の猫の管理に関する記述として正しいのはどれか。

  1. 食物繊維を多く含むフードは食後の血糖値の上昇を抑える。
  2. 身体的なストレスは血糖値を安定させる。
  3. BCS をより高く保つほど血糖値は安定する。
  4. 糖質を増量したフードが推奨される。
  5. 摂食量にかかわらずインスリン投与量は一定とする。
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正解:

解答のポイント:
食物繊維(特に可溶性繊維)は胃から腸への移送を遅らせ、食後の血糖上昇を緩やかにする。糖尿病管理では、血糖の急激な変動を避けることが重要である。

重要度:★
食物繊維を多く含むフードは食後の血糖値の上昇を抑える。

可溶性繊維が胃排出を遅らせることで血糖の急上昇を防ぎます。糖尿病管理において有用です。

問 27

肝性脳症の犬の栄養管理として誤っているのはどれか。

  1. 低タンパクの食事を与える。
  2. 分岐鎖アミノ酸の投与が推奨される。
  3. 食物繊維の摂取が推奨される。
  4. ラクツロースの投与は禁忌である。
  5. 炭水化物の摂取を制限する。

. a, b . b, c . c, d . d, e . a, e

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正解:

解答のポイント:
肝性脳症(hepatic encephalopathy)は、肝機能の低下によりアンモニアなどの神経毒が体内に蓄積し、神経症状を引き起こす疾患です。管理の中心は、毒素の産生と吸収を抑えることにあります。

重要度:★
低タンパクの食事を与える

正しい。タンパク質の分解でアンモニアが発生するため、量を抑えることが重要(ただし極端な制限は不可)。

問 28

非経腸栄養に関する記述として正しいのはどれか。

  1. 非経腸栄養剤は、単一のタンパク質から作製される。
  2. 院内調整した非経腸栄養剤は、冷蔵すれば長期間保存が可能である。
  3. 経鼻カテーテルによる流動食給与は、非経腸栄養法の一種である。
  4. 完全非経腸栄養(TPN)は、頚静脈など太い血管を介して給与する。
  5. 末梢非経腸栄養(PPN)では、必要エネルギーの100%を給与できる。
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正解:

解答のポイント:
TPN(完全非経腸栄養)は高濃度栄養液のため、中心静脈(例:頚静脈)を通して投与される。PPNでは高濃度投与ができずエネルギーは十分に補えない。経鼻カテーテルは経腸栄養である。

重要度:★
完全非経腸栄養(TPN)は、頚静脈など太い血管を介して給与する。

TPNは高濃度の栄養を投与するため中心静脈(頚静脈、鎖骨下静脈など)を用いる。

問 29

肉用肥育牛で、脂肪交雑を高めるために給与制限するビタミンはどれか。

  1. ビタミンA
  2. ビタミンB1
  3. ビタミンC
  4. ビタミンD
  5. ビタミンE
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正解:全員正解(想定ではおそらく選択肢1)

解答のポイント:
肉用牛(特に黒毛和種)の肥育において、脂肪交雑(霜降り)を高める目的でビタミンAの摂取を制限する管理が行われます。ビタミンAは脂肪蓄積を抑制する作用があるため、肥育後期に意図的に給与量を下げることで脂肪交雑を促進します。過度な制限は健康被害リスクがあるため注意が必要です。

重要度:★
ビタミンA

脂肪交雑(霜降り)を高める目的で肥育後期に給与量を制限。脂肪の蓄積抑制作用があるため、適切な制限が飼養管理で行われる。

問 30

スナネズミに関する記述として正しいのはどれか。

  1. 米国で実験動物化された。
  2. 成熟体重は300g ~ 400gである。
  3. 加齢とともに高脂血症になる。
  4. 体表血管からの採血に適している。
  5. 移動の際は尾の先端部分を持つのがよい。
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正解:

解答のポイント:
スナネズミ(ジャービル)は加齢により高脂血症を発症しやすい。この特性から動脈硬化や代謝疾患研究モデルとして利用されている。

重要度:★★
加齢とともに高脂血症になる。

加齢による高脂血症発症が特徴で、動脈硬化や代謝疾患研究に用いられる。

問 31

ウェットテイルの頻度が高い動物種はどれか。

  1. マウス
  2. ラット
  3. モルモット
  4. ハムスター
  5. スナネズミ
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正解:

解答のポイント:
ウェットテイル(wet tail)はハムスター(特に幼若個体)で多発する致死的な下痢性疾患(増殖性回腸炎)。ストレスや飼育環境も発症の誘因となり、迅速な治療が必要。

重要度:★
ハムスター

ウェットテイル(増殖性回腸炎)はハムスター、特に幼若個体で多発する。致死率も高い。

問 32

特定外来生物でないのはどれか。

  1. アライグマ
  2. ハクビシン
  3. ヌートリア
  4. キョン
  5. シママングース
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正解:

解答のポイント:
「特定外来生物」は、外来生物法により生態系や農業、人の健康等への被害を防止するために指定された外来動物。ハクビシンは外来種とされる可能性はあるが、特定外来生物には指定されていない。

重要度:★
ハクビシン

外来種とされる説もあるが、特定外来生物には指定されていない(在来説もあり、取扱いが異なる)。

問 33

「愛玩動物看護師法」に関する記述として正しいのはどれか。

  1. 動物病院での勤務経験があれば、愛玩動物看護師の名称を使用できる。
  2. 愛玩動物看護師は、業務にあたって獣医師と連携する必要はない。
  3. 愛玩動物看護師が氏名を変更した場合、手続きは必要ない。
  4. 愛玩動物看護師の名称は、使用停止になることがある。
  5. 愛玩動物の世話や看護をするには、常に獣医師の指示が必要である。
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正解:

解答のポイント:
愛玩動物看護師法第25条により、法令違反等がある場合は厚生労働大臣の判断で「名称使用の停止処分」を受けることがある。

重要度:★
愛玩動物看護師の名称は、使用停止になることがある。

法令違反や不正行為時、厚生労働大臣による名称使用停止処分の規定がある(法第25条)。

問 34

「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」が規定する輸入禁止動物はどれか。

  1. フェレット
  2. ハムスター
  3. ハクビシン
  4. プレーリードッグ
  5. スカンク

. a, b . b, c . c, d . d, e . a, e

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正解:

解答のポイント:
感染症法第54条に基づき、ハクビシン(c)・プレーリードッグ(d)は輸入禁止。人への感染症リスクが高いため指定されている。

  • イタチアナグマ
  • タヌキ
  • ハクビシン
  • プレーリードッグ
  • コウモリ
  • サル
  • ヤワゲネズミ

狂犬病予防法における検疫動物と区別しましょう!

重要度:★★★
ハクビシン

ハクビシンはSARS感染源の可能性、プレーリードッグはペスト等感染症リスクのため輸入禁止。

問 35

「狂犬病予防法」が定める犬の登録申請先はどこか。

  1. 都道府県知事
  2. 保健所長
  3. 家畜保健衛生所長
  4. 厚生労働大臣
  5. 市町村長(特別区の区長)
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正解:

解答のポイント:
狂犬病予防法第4条により、犬の登録申請先は所在地の市町村長(特別区の場合は区長)です。登録完了後、鑑札が交付され、所有者は犬に装着する義務があります。

重要度:★★
市町村長(特別区の区長)

犬の所在地を管轄する市町村長(特別区は区長)が申請先。登録後に鑑札が交付される。

問 36

「動物の愛護及び管理に関する法律」が規定しないのはどれか。

  1. 犬と猫の繁殖制限
  2. 動物取扱業者の規制
  3. 実験動物の使用数の削減
  4. 特定外来生物の飼養
  5. 都道府県等による犬と猫の引き取り
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正解:

解答のポイント:
特定外来生物の飼養は「外来生物法」によって規定されており、「動物の愛護及び管理に関する法律」では扱っていません。

重要度:★
特定外来生物の飼養

特定外来生物の規制は「外来生物法」で定められている。愛護法では規定されていない。

問 37

「動物の愛護及び管理に関する法律」に規定されているマイクロチップに関する記述として正しいのはどれか。

  1. 装着の対象動物は犬、猫、ウサギである。
  2. 動物個体ごとに 10 桁の数字が記録されている。
  3. 番号を読み込むには専用の読み取り機が必要である。
  4. 迷子になった動物の位置を把握できる。
  5. 狂犬病の注射済票があれば装着が免除される。
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正解:

解答のポイント:
マイクロチップの番号は専用のリーダー機(読み取り機)がなければ読み出せません。犬と猫への装着が義務化されていますが、ウサギや他の動物は対象外です。チップには15桁の個体識別番号が記録されています。GPS機能や装着免除規定はありません。

重要度:★
番号を読み込むには専用の読み取り機が必要である。

マイクロチップは専用のリーダー(読み取り機)がなければ番号を読み取れない。

問 38

「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)」に規定されている項目として誤っているのはどれか。

  1. 基準・規格に合わないペットフードの販売の禁止
  2. 事業者の事業開始前の届出
  3. 事業者の帳簿の備え付け
  4. 賞味期限、原材料名、原産国名、事業者名及び住所の表示
  5. 都道府県等による監視指導計画の策定
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正解:

解答のポイント:
ペットフード安全法で「都道府県等による監視指導計画の策定」は規定されていません。国(農林水産省・環境省)が監督主体であり、都道府県の計画策定義務はありません。

重要度:★
都道府県等による監視指導計画の策定

国が監督主体。都道府県等による計画策定義務はない。

問 39

融解(液化)壊死をおこしやすい臓器はどれか。

  1. 心臓
  2. 腎臓
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正解:

解答のポイント:
液化壊死(融解壊死)は、タンパク分解酵素が豊富で軟らかい組織で起こりやすく、特に脳で多発します。他の臓器では凝固壊死や乾酪壊死などが主体です。

重要度:★★★

タンパク分解酵素が豊富で軟らかい組織。液化壊死が典型的にみられる。

問 40

循環障害の結果生じる病変でないのはどれか。

  1. チアノーゼ
  2. 脳梗塞
  3. 肺水腫
  4. 白内障
  5. にくずく肝(うっ血肝)
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正解:

解答のポイント:
白内障は水晶体の混濁による病変であり、加齢や糖尿病などが主因。循環障害によるものではない。他の選択肢はいずれも循環障害の結果生じる病変です。

重要度:★★
白内障

水晶体の混濁による病変。加齢・糖尿病・遺伝などが主因で循環障害とは無関係。

問 41

血液凝固に必要なのはどれか。

  1. カルシウム
  2. ナトリウム
  3. カリウム
  4. マグネシウム
  5. マンガン
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正解:

解答のポイント:
カルシウム(Ca²⁺)は凝固カスケードに必須の補因子。プロトロンビン→トロンビンなど、複数の凝固因子の活性化に不可欠です。

重要度:★★★
カルシウム

血液凝固に不可欠な因子。凝固因子の活性化・補助に必須。

問 42

腫瘍に関する記述として正しいのはどれか。

  1. 骨肉腫は骨の悪性腫瘍である。
  2. 肥満細胞腫は脂肪細胞の腫瘍である。
  3. 白血病は上皮性腫瘍である。
  4. 猫の乳腺腫瘍はほとんど良性である。
  5. 歯肉腫は歯の悪性腫瘍である。
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正解:

解答のポイント:
骨肉腫(osteosarcoma)は骨由来の悪性腫瘍。大型犬の前肢長骨によくみられ、悪性度・転移性ともに高い。

重要度:★
骨肉腫は骨の悪性腫瘍である。

骨肉腫は骨組織に由来し、特に大型犬に多発。転移性も高い。

問 43

保管場所を施錠しなければならない医薬品はどれか。

  1. イソフルラン
  2. メデトミジン
  3. ケタミン
  4. ブピバカイン
  5. ブトルファノール
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正解:

解答のポイント:
ケタミンは向精神薬として「施錠できる堅固な設備」で保管義務。管理者の設置・届け出・記録保存も必要です。

重要度:★★★
ケタミン

向精神薬で施錠保管義務あり。管理記録・届け出も必須。

問 44

麻酔薬に関する記述として正しいのはどれか。

  1. 開腹・開胸手術の際は局所麻酔薬のみを用いる。
  2. 局所麻酔薬による副作用は全くない。
  3. 全身麻酔開始前には前投与薬を与えることはない。
  4. 全身麻酔薬は中枢神経系の機能を抑制する。
  5. 全身麻酔薬の作用により知覚機能が亢進する。
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正解:

解答のポイント:
全身麻酔薬は中枢神経系を抑制し、意識消失・筋弛緩・鎮痛などの作用を示します。

重要度:★
全身麻酔薬は中枢神経系の機能を抑制する。

意識消失・筋弛緩・鎮痛・反射抑制など、中枢神経抑制作用が特徴。

問 45

ヘパリンの薬効分類はどれか。

  1. 抗ウイルス薬
  2. 抗凝固薬
  3. 抗炎症薬
  4. 抗真菌薬
  5. 抗アレルギー薬
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正解:

解答のポイント:
ヘパリンは抗凝固薬であり、アンチトロンビンⅢと結合して凝固因子の活性化を阻害し、血栓形成を抑制します。

重要度:★★
抗凝固薬

アンチトロンビンⅢと結合し凝固因子の働きを抑制。血液凝固を防ぐ。

問46

ウイルスに関する記述として正しいのはどれか。

  1. ゲノムは DNA のみからなる。
  2. ペプチドグリカンの殻をもつ。
  3. 一部はエンベロープをもつ。
  4. 宿主細胞の中で増殖する。
  5. 二分裂によって増殖する。

. a, b . b, c . c, d . d, e . a, e

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正解:3

解答のポイント:
ウイルスは「一部はエンベロープをもつ」「宿主細胞の中で増殖する」が正しい特徴です。エンベロープはインフルエンザやヘルペスウイルスなどが持ち、増殖は細胞内でのみ行われます。

重要度:★★★
一部はエンベロープをもつ。

ウイルスにはエンベロープ(脂質膜)を持つタイプと持たないタイプ(ノンエンベロープ)が存在します。インフルエンザウイルスやヘルペスウイルスなどはエンベロープあり。

問 47

感染症に関する記述として誤っているのはどれか。

  1. 病原体の感染経路には水平感染と垂直感染がある。
  2. 飛沫は歯石除去でも発生するため対策が必要である。
  3. 適切な栄養管理は宿主の免疫能を向上させ感染症対策となる。
  4. ワクチン接種により感染経路を遮断することができる。
  5. 殺菌や消毒により感染症のリスクを低減できる。
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正解:

解答のポイント:
ワクチンは発症や重症化を予防するためのものであり、感染経路そのものを遮断することはできません。不顕性感染や感染伝播のリスクは残ります。

重要度:★★★
ワクチン接種により発症や重症化を予防することができる。

ワクチンは発症や重症化を予防するが、感染経路自体を完全に遮断することはできない。

問 48

プリオン病でないのはどれか。

  1. クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)
  2. 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
  3. 牛海綿状脳症(BSE)
  4. スクレイピー
  5. 伝達性ミンク脳症
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正解:

解答のポイント:
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)はブニヤウイルス科のウイルス感染症であり、プリオン病とは全く異なる。プリオン病は異常プリオンタンパク質による進行性神経疾患です。

重要度:★★
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

ブニヤウイルス科のウイルス感染症。ダニ媒介で、プリオン病ではない。

問 49

猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症に関する記述として正しいのはどれか。

  1. 病原体はコロナウイルスである。
  2. 飛沫による経鼻感染が多い。
  3. 無症候キャリアの期間は数週間程度である。
  4. 免疫異常を起こすと口内炎を発症しやすい。
  5. 抗ウイルス薬により完治が期待できる。
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正解:

解答のポイント:
FIV感染により免疫不全状態となると、歯肉口内炎や皮膚病変などの二次感染が多発します。特に口内炎はFIV陽性猫で難治性となることが多いです。

重要度:★★
免疫異常を起こすと口内炎を発症しやすい。

FIV感染による免疫不全で口内炎・皮膚病変などの二次感染が多発する。

問 50

10%塩化ベンザルコニウム消毒液を希釈して0.05%液を500 mL調製するのに必要な原液量はどれか。

  1. 1.0 mL
  2. 1.5 mL
  3. 2.0 mL
  4. 2.5 mL
  5. 3.0 mL
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正解:

解答のポイント:
希釈の公式 C₁×V₁=C₂×V₂ により、10×V₁=0.05×500。よってV₁=25÷10=2.5mL。10%原液を2.5mL取って500mLまで希釈すればOK。

重要度:★
2.5 mL

10%原液を2.5mLとり、精製水で500mLまで希釈すれば0.05%液ができます。

問 51

Ⅰ型アレルギーに関与する免疫グロブリンと細胞の組合せはどれか。

  1. IgA   肥満細胞
  2. IgA   リンパ球
  3. IgG   肥満細胞
  4. IgE   リンパ球
  5. IgE   肥満細胞
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正解:

解答のポイント:
Ⅰ型アレルギーはIgE抗体と肥満細胞の組合せで起こります。再曝露時にヒスタミンなどが放出され、即時型アレルギー反応が生じます。

重要度:★★
IgE   肥満細胞

Ⅰ型アレルギーはIgEと肥満細胞の組合せで起こる即時型アレルギー。

問 52

人獣共通感染症でヒト用のワクチンが存在するのはどれか。

  1. オウム病
  2. 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
  3. トキソプラズマ症
  4. ブルセラ症
  5. 狂犬病
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正解:

解答のポイント:
狂犬病(Rabies)はウイルス性の人獣共通感染症で、ヒト用ワクチンが存在します(暴露前・暴露後とも使用可)。発症後の致死率はほぼ100%です。

重要度:★★
狂犬病

ヒト用ワクチンあり(暴露前・暴露後とも接種可能)。

問 53

破傷風に関する記述として誤っているのはどれか。

  1. 馬が最も感受性が高い。
  2. 筋肉の強直性痙攣が特徴である。
  3. 病原体はウイルスである。
  4. 予防にトキソイドが用いられる。
  5. 創傷部位から感染する。
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正解:

解答のポイント:
破傷風の病原体は嫌気性グラム陽性桿菌の「Clostridium tetani(破傷風菌)」であり、ウイルスではありません。

重要度:★★
病原体は細菌である。

破傷風の原因は「細菌(Clostridium tetani)」でありウイルスではない。

問 54

食品の「特定原材料」として表示義務があるのはどれか。

  1. オレンジ
  2. 牛肉
  3. ごま
  4. さば
  5. 小麦
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正解:

解答のポイント:
「小麦」はアレルギー表示が義務付けられている「特定原材料」(7品目)の一つです。日本の食品表示法において、「特定原材料」とは、えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)です。

重要度:★★
小麦

「特定原材料」(表示義務あり)に該当。必ず表示が必要です。

問 55

カンピロバクター食中毒の主な原因となる食品はどれか。

  1. 鶏肉
  2. イワシ
  3. 牡蠣
  4. フグ
  5. 牛肉
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正解:

解答のポイント:
カンピロバクター食中毒の主な原因は「加熱不十分な鶏肉」や調理器具の交差汚染。腹痛、下痢、発熱、嘔吐が主症状です。

重要度:★
鶏肉

カンピロバクターの主な感染源。加熱不十分な鶏肉や鶏刺し、たたきは特にリスクが高い。

問 56

心音の第Ⅰ音に関する記述として正しいのはどれか。

  1. 僧帽弁と三尖弁の閉鎖音である。
  2. 大動脈弁と三尖弁の閉鎖音である。
  3. 大動脈弁と肺動脈弁の開放音である。
  4. 僧帽弁の閉鎖音と三尖弁の開放音である。
  5. 僧帽弁と三尖弁の開放音である。
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正解:

解答のポイント:
第Ⅰ心音(S₁)は、心室収縮の開始時に「僧帽弁と三尖弁が閉じる音」です。これが「ドン」という音で聴こえます。

重要度:★★★
僧帽弁と三尖弁の閉鎖音である。

第Ⅰ心音は心室収縮開始時の房室弁(僧帽弁・三尖弁)閉鎖による音です。

問 57

輸血の目的でないのはどれか。

  1. 赤血球の補給
  2. 血小板の補給
  3. 血漿タンパクの補給
  4. 凝固因子の補給
  5. 水分の補給
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正解:

解答のポイント:
輸血は赤血球・血小板・血漿タンパク・凝固因子などの補給が目的。水分補給は輸液(補液)が適応であり、輸血の目的ではありません。

重要度:★
水分の補給

水分補給は輸液(補液)が適応であり、輸血では行わない。

問 58

X線撮影に用いるグリッドに関する記述として誤っているのはどれか。

  1. 散乱線を除去する。
  2. 画像の鮮鋭度を高める。
  3. 裏表がない。
  4. 内部は格子構造である。
  5. ブレンデともいう。
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正解:

解答のポイント:
グリッドには裏表(方向性)があり、設置を誤ると画質低下(グリッドカット)が起こります。

重要度:★
裏表がある

グリッドには裏表があり、設置方向を誤ると画質が低下します。

問 59

神経学的検査において、姿勢反応でないのはどれか。

  1. 手押し車反応
  2. 踏み直り反応
  3. 跳び直り反応
  4. 立ち直り反応
  5. 威嚇まばたき反応
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正解:

解答のポイント:
「威嚇まばたき反応」は脳神経検査(視覚と顔面神経の評価)であり、姿勢反応ではありません。

重要度:★
威嚇まばたき反応

脳神経検査(視覚経路+顔面神経機能)の評価に用いる。姿勢反応ではない。

問 60

フルオレセイン試験の評価目的はどれか。

  1. 赤血球の再生
  2. 皮膚糸状菌の感染
  3. 細菌の性状
  4. 角膜の傷害
  5. 涙液の分泌量
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正解:

解答のポイント:
フルオレセイン試験は、角膜上皮の傷害(びらんや潰瘍)の有無を評価する目的で行う検査法です。

重要度:★
角膜の傷害

フルオレセイン試験は角膜上皮の傷害(びらん・潰瘍)の有無を評価するための検査です。

問 61

皮膚掻爬検査で必要なのはどれか。

  1. 鋭匙
  2. ウッド灯
  3. 鉗子
  4. セロハンテープ
  5. DMSO-KOH 溶液

. a, b . b, c . c, d . d, e . a, e

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正解:

解答のポイント:
皮膚掻爬検査には「鋭匙(またはメス刃)」と「DMSO-KOH溶液」が必要です。鋭匙で皮膚表面を掻爬し、KOH溶液で角質を溶かして寄生虫の検出を行います。

重要度:★
DMSO-KOH溶液

角質を溶かして寄生虫や真菌を見やすくするために用いる溶解液

問 62

術者の準備に関する記述として正しいのはどれか。

  1. 手術室に入る際は手術帽とマスクを着用する。
  2. 爪を短く切っておく。
  3. マスクの紐は耳の前で交差させるように結ぶ。
  4. 手指消毒は肘から指先に向かって行う。
  5. 手術用手袋の装着は開放式を基本とする。

. a, b . b, c . c, d . d, e . a, e

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正解:

解答のポイント:
「a:手術帽とマスクの着用」「b:爪を短く切る」は手術前準備の必須項目です。他の選択肢は不正確です。

重要度:★
手術室に入る際は手術帽とマスクを着用する。

手術室に入る前に頭髪や呼気による汚染を防ぐために、必ず着用が必要です。

問 63

麻酔中の動物を五感により看視する項目はどれか。

  1. 直腸温
  2. 呼気中の二酸化炭素分圧
  3. 換気量
  4. 動脈血酸素飽和度
  5. 粘膜色
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正解:

解答のポイント:
「粘膜色」は視覚による五感モニタリングで直接評価できる項目です。他の選択肢は医療機器が必要なため、五感のみでは評価できません。

重要度:★★
粘膜色

視覚による五感観察の代表項目。貧血やチアノーゼ、灌流不全を目視で評価できる。

問 64

縫合糸に関する記述として正しいのはどれか。

  1. ナイロンは吸収性の合成素材である。
  2. ポリプロピレンは非吸収性の天然素材である。
  3. ポリグリコネートは非吸収性の合成素材である。
  4. 絹糸は非吸収性の天然素材である。
  5. ポリエステルは吸収性の天然素材である。
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正解:

解答のポイント:
絹糸(シルク糸)は、蚕の繭から得られる天然素材で、非吸収性に分類されます。ただし、長期的には一部吸収される傾向があります。
柔軟で使いやすいが、組織反応を起こしやすく感染リスクが高い。

重要度:★
絹糸は非吸収性の天然素材である。

絹糸(シルク糸)は蚕の繭から得られる天然素材であり、非吸収性に分類されます(長期的には一部吸収される傾向あり)。柔軟で使いやすいですが、組織反応を起こしやすく感染リスクが高めです。

問 65

関節可動域の拡大を目的に行う理学療法として最も適切なのはどれか。

  1. 電気刺激療法
  2. 補助起立
  3. 寒冷療法
  4. バランス運動
  5. ストレッチ
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正解:

解答のポイント:
ストレッチ(Stretching)は、関節や筋・腱の柔軟性を高め、拘縮を防ぐ・改善するために行う理学療法で、関節可動域(Range of Motion:ROM)を広げる主目的に最適です。
手技的に行う「他動的ROM訓練(Passive ROM)」や動物自身の動きによる「能動的ROM訓練」も含まれます。

重要度:★
ストレッチ

ストレッチは関節や筋・腱の柔軟性を高め、関節可動域を広げるために最適な理学療法です。拘縮予防や改善にも有効です。

問 66

高齢動物の管理に関する記述として正しいのはどれか。

  1. グルーミングはしない。
  2. 常に同じ体位で寝かせる。
  3. 隔離された空間に置く。
  4. 食事量は必ず一定にする。
  5. 生活環境の変更は慎重に行う。
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正解:

解答のポイント:
高齢動物は環境の変化に対する適応力が低下しています。急激なレイアウト変更、引っ越し、家族構成の変化などは混乱やストレス、認知機能障害の悪化を招く可能性があります。そのため、必要な変更は少しずつ・慎重に・観察しながら行うことが大切です。

重要度:★★
生活環境の変更は慎重に行う。

高齢動物は環境の変化に適応しづらいため、必要な変更は少しずつ・慎重に・観察しながら進めることが重要です。

問 67

終末期の動物における看護として誤っているのはどれか。

  1. 死期がせまった時期であることを認識する。
  2. 問題点を抽出して対応する。
  3. 飼い主が望むサポートを把握する。
  4. 安らかな死を迎えられるようにサポートする。
  5. 看取りは二次診療施設に任せる。
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正解:

解答のポイント:
終末期(ターミナルケア)は、一次診療施設でも十分に実施すべきケアです。動物と飼い主が安心して過ごせる環境を整え、苦痛の緩和や尊厳ある看取りを支えることが重要です。
看取りを「他施設任せ」にするのは、愛玩動物看護師の責任放棄にあたる可能性があります。

注意度:★
看取りは二次診療施設に任せる。

終末期ケア(ターミナルケア)は一次診療施設でも十分に実施でき、動物と飼い主が安心して過ごせる環境を整えることが大切です。他施設に任せるのは責任放棄につながります。

問 68

褥瘡に関する記述として最も適切なのはどれか。

  1. 軟部組織の浮腫が原因である。
  2. 局所の細菌感染が原因である。
  3. 肢端部が好発部位である。
  4. 頻回の体位変換が必要である。
  5. 外科的治療を優先する。
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正解:

解答のポイント:
褥瘡(じょくそう)とは、長時間同じ姿勢で寝たきりの動物に起こる皮膚や皮下組織の壊死のことです。
主な原因は、持続的な圧迫による血流障害。圧迫を防ぐため、2~4時間ごとの体位変換が最も重要な予防策です。

重要度:★★
頻回の体位変換が必要である。

圧迫を避けるため2~4時間ごとの体位変換が最も重要な予防策です。褥瘡の発生・進行予防の基本です。

問 69

鮮血便の際に疑われる出血部位はどれか。

  1. 口腔
  2. 食道
  3. 小腸
  4. 大腸
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正解:

解答のポイント:
鮮血便(しんけつべん)とは、赤く鮮やかな血液が混じる便のことで、出血源が肛門に近い消化管(=大腸〜直腸)であることを示唆します。
血液が腸内で分解されずにそのまま排泄されるため、赤いままの血が便に見られます。

血液は腸管内で消化・分解され、黒色便(メレナ)になるのが一般的。特に胃・小腸からの出血ではタール状の黒い便が出ます。

重要度:★★★
大腸

大腸(特に肛門に近い部位)からの出血は、血液が赤いまま排泄される鮮血便となります。

問 70

猫で便秘の原因となるのはどれか。

  1. 下顎骨骨折
  2. 脛骨骨折
  3. 骨盤骨折
  4. 肩甲骨骨折
  5. 橈尺骨骨折
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正解:

解答のポイント:
猫では、交通事故や高所落下により骨盤骨折を起こすことがあります。骨盤の変形や狭窄によって直腸が圧迫されると、排便困難=便秘の原因となります。
慢性化すれば「巨大結腸症(megacolon)」にも進行することがあり、外科的整復が必要なこともあります。

【猫の便秘の原因】
・器質的原因:骨盤骨折、腫瘍、直腸狭窄など
・機能的原因:巨大結腸症、神経疾患
・環境要因:トイレの設置、ストレス、水分不足など

重要度:★
骨盤骨折

骨盤骨折による変形や狭窄で直腸が圧迫されると排便困難となり、便秘や巨大結腸症の原因となります。

問 71

採取した血液を遠心分離した際、全容量に占める赤血球成分の割合を示すのはどれか。

  1. PCV
  2. MCV
  3. MCH
  4. MCHC
  5. Hb
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正解:

解答のポイント:
PCV(Packed Cell Volume)は、遠心分離した血液中で、赤血球が占める割合(%)を示す指標です。
「ヘマトクリット(Hematocrit:Ht)」とも呼ばれ、貧血の評価や脱水の指標として臨床現場で頻用されます。

重要度:★★
PCV

遠心分離した血液で赤血球が占める割合(%)を示す指標。ヘマトクリットとも呼ばれ、貧血や脱水の評価に用いられます。

問 72

犬で多飲多尿が症状としてみられる疾患はどれか。

  1. 巨大食道症
  2. 水頭症
  3. 脂肪腫
  4. 子宮蓄膿症
  5. ウォブラー症候群
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正解:

解答のポイント:
子宮蓄膿症(pyometra)は、犬の発情後期に発生しやすい感染性子宮疾患です。エンドトキシンや炎症反応によって腎臓に影響し、抗利尿ホルモン(ADH)不応性となることで多尿・多飲が生じます。
特に開放型蓄膿症では陰部からの膿性分泌物も併発します。

重要度:★★
子宮蓄膿症

子宮蓄膿症では、炎症により腎臓が影響を受けて抗利尿ホルモン(ADH)不応性となり、多飲多尿が起こります。

問 73

尿崩症において、分泌や作用が低下しているホルモンはどれか。

  1. バソプレシン
  2. コルチゾール
  3. レニン
  4. パラソルモン
  5. エリスロポエチン
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正解:

解答のポイント:
バソプレシン(抗利尿ホルモン, ADH)は、下垂体後葉から分泌されるホルモンで、腎集合管での水の再吸収を促進します。
尿崩症(Diabetes Insipidus)では、① 中枢性尿崩症:バソプレシンの分泌不全、② 腎性尿崩症:バソプレシンに対する腎の反応性低下のいずれかによって、多飲・多尿・低尿比重を呈します。

重要度:★★
バソプレシン

バソプレシン(抗利尿ホルモン, ADH)は下垂体後葉から分泌され、腎集合管での水の再吸収を促進します。尿崩症ではその分泌や作用の低下がみられます。

問 74

犬および猫の前十字靭帯断裂に関する記述として正しいのはどれか。

  1. 犬よりも猫に多い。
  2. 後肢の麻痺が認められる。
  3. 成長期に多い。
  4. 前肢の跛行が認められる。
  5. 前方引き出し徴候が認められる。
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正解:

解答のポイント:
前十字靭帯(cranial cruciate ligament, CCL)が断裂すると、脛骨が大腿骨に対して前方へずれる動きが生じます。これを触診で確認できる所見が「前方引き出し徴候」で、もう一つの検査法に「脛骨圧迫試験(tibial compression test)」もあります。

重要度:★
前方引き出し徴候が認められる。

前十字靭帯が断裂すると、脛骨が大腿骨に対して前方へずれる「前方引き出し徴候」が触診で認められます。

問 75

膿皮症の直接の原因はどれか。

  1. 毛包虫
  2. ヒゼンダニ
  3. ブドウ球菌
  4. マラセチア
  5. 皮膚糸状菌
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正解:

解答のポイント:
膿皮症は皮膚の化膿性細菌感染症であり、もっとも多い起因菌は Staphylococcus pseudintermedius です(とくに犬で)。健常な皮膚にも常在していますが、皮膚バリアの低下や免疫異常によって増殖・感染します。
表在性、深在性、膿瘍形成型などがあり、抗菌薬治療が基本です。

重要度:★
ブドウ球菌

膿皮症のもっとも多い起因菌はブドウ球菌(Staphylococcus pseudintermedius)です。

問 76

椎間板ヘルニアの好発犬種として最も適切なのはどれか。

  1. サルーキ
  2. ウィペット
  3. セント・バーナード
  4. ミニチュア・ダックスフンド
  5. パピヨン
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正解:

解答のポイント:
ミニチュア・ダックスフンドは、軟骨異栄養犬種(chondrodystrophic breeds)に分類され、椎間板の変性(ハンセンⅠ型)を若齢から起こしやすいです。
特に胸腰椎部(T11–L3)に多く見られ、後肢のふらつき・麻痺や排尿困難などの神経症状を呈します。

重要度:★
ミニチュア・ダックスフンド

ミニチュア・ダックスフンドは椎間板ヘルニアの好発犬種として代表的です。胸腰椎部(T11–L3)によく発症します。

問 77

輸血による副反応を防ぐために実施する輸血前検査はどれか。

  1. クロスマッチ試験
  2. 血液型判定
  3. 血液塗抹検査
  4. 全血球計算
  5. 血液化学検査

. a, b . b, c . c, d . d, e . a, e

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正解:

解答のポイント:
【副反応を避けるために重要なこと】
・クロスマッチ検査は毎回輸血ごとに実施が望ましい
・特に猫では初回から血液型一致が絶対条件
・犬では初回は副反応が起きにくいが、2回目以降は抗体による溶血リスクあり

重要度:★★★
クロスマッチ試験(交差適合試験)

供血動物と被供血動物の血液の適合性を調べる検査

溶血や凝集反応の有無を確認し、急性溶血反応などの副反応の回避に不可欠

問 78

犬が摂取すると出血傾向を示すのはどれか。

  1. カフェイン
  2. キシリトール
  3. チョコレート
  4. ネギ
  5. ワルファリン
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正解:

解答のポイント:
出血傾向を起こす中毒物質
・ワルファリン
・その他の抗凝固性殺鼠剤(ブロマジオロンなど)
・毒キノコ(フィブリノゲン低下性)
・肝障害を引き起こす物質(例:アフラトキシン)も出血を伴うことがある

重要度:★★
ワルファリン

ワルファリンは、殺鼠剤(ラット用毒餌)などに含まれる抗凝固薬で、ビタミンKの働きを阻害して凝固因子(II, VII, IX, X)の合成を阻害します。
犬が摂取すると、内出血・血尿・消化管出血などを起こし、致死的になることもあります。解毒にはビタミンK1(フィトナジオン)の投与が必要です。

問 79

抗がん剤に関する記述として適切なのはどれか。

  1. 人体への悪影響はない。
  2. 取り扱いは安全キャビネット内で行う。
  3. 一般的な薬剤に比べて副作用は少ない。
  4. 投与した動物の尿や便には排泄されない。
  5. 取り扱い時にはマスクのみを着用する。
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正解:

解答のポイント:
抗がん剤(細胞障害性薬剤)は取り扱い時に吸入・接触により人体へ悪影響を及ぼす可能性があるため、安全キャビネット内での調製が推奨されます。

重要度:★
取り扱いは安全キャビネット内で行う。

抗がん剤はクラスⅡ安全キャビネットや陰圧アイソレーター内で取り扱うことで、曝露リスクを減らします。

問 80

非再生性貧血はどれか。

  1. 鉄欠乏性貧血
  2. 失血性貧血
  3. 免疫介在性溶血性貧血
  4. ハインツ小体性溶血性貧血
  5. 腎性貧血

. a, b . b, c . c, d . d, e . a, e

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正解:

解答のポイント:
非再生性貧血とは、骨髄での赤血球産生が低下・停止している状態で、網赤血球数の増加が乏しく再生反応がみられません。
【非再生性貧血の主な原因】
・慢性腎不全(エリスロポエチン↓)
・慢性疾患による炎症性サイトカインの影響
・骨髄疾患(骨髄線維症、骨髄異形成症候群など)
・鉄・ビタミンB12欠乏

重要度:★
腎性貧血

腎機能低下によりエリスロポエチン分泌が低下し、骨髄での造血が低下するため非再生性貧血となります。

問 81

血糖値に関する記述として正しいのはどれか。

  1. 血中ショ糖濃度を意味する。
  2. 空腹時採血による検査が望ましい。
  3. 興奮による一過性の上昇は猫より犬が多い。
  4. インスリノーマの罹患犬では上昇する。
  5. 血中フルクトサミン濃度は血糖値の日内変動を反映する。
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正解:

解答のポイント:
食後には血糖値が一時的に上昇するため、基準となる血糖値を評価するには空腹時採血が適しています(8~12時間絶食後)。

重要度:★
空腹時採血による検査が望ましい。

基準となる血糖値を評価するには食後上昇を避け、空腹時(8~12時間絶食後)に採血することが望ましいです。

問 82

犬の血漿タンパクに関する記述として正しいのはどれか。

  1. 最も多いのはフィブリノーゲンである。
  2. アルブミンは主に腎臓で作られる。
  3. グロブリンの増加は炎症所見のひとつである。
  4. 屈折計で濃度を測ることができる。
  5. アルブミンとグロブリンの濃度差が血漿総タンパク濃度となる。

. a, b . b, c . c, d . d, e . a, e

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正解:

解答のポイント:
・アルブミン:浸透圧維持、輸送タンパクとして重要。肝臓で合成
・グロブリン:主に免疫グロブリン。炎症時に増加
・フィブリノーゲン:肝臓合成、凝固因子の一つ(血漿中のみ存在)

重要度:★
グロブリンの増加は炎症所見のひとつである

特にγグロブリン(免疫グロブリン)が増加することで、慢性炎症や免疫性疾患の指標となります。

問 83

細胞診検査に関する記述として誤っているのはどれか。

  1. 病変から採取した細胞を顕微鏡で観察し評価する手法である。
  2. 腫瘤性病変では主に細針生検が行われる。
  3. 摘出病変ではスタンプ法などにより標本を作製する。
  4. 迅速に評価できることが長所である。
  5. 病理組織検査よりも確定診断が得やすい。
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正解:

解答のポイント:
細胞診検査(cytology)とは、病変部から採取した細胞を染色し顕微鏡で観察する検査法です。腫瘤やリンパ節、体腔液などが主な対象。

重要度:★
病理組織検査よりも確定診断が得にくい

病理組織検査は、組織構造や細胞の配列、浸潤の深さまで評価でき、確定診断に優れています。一方で細胞診は非侵襲的・簡便だが情報量が限られ、確定診断に至らないことも多い。

問 84

動物で遺伝情報を有している細胞小器官はどれか。

  1. ゴルジ体
  2. 細胞膜
  3. 小胞体
  4. ミトコンドリア

. a, b . b, c . c, d . d, e . a, e

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正解:

解答のポイント:
遺伝情報を持つ細胞小器官は、核とミトコンドリアです。

重要度:★★
ミトコンドリア

ミトコンドリアDNA(mtDNA)という独自の環状DNAを持ち、これは母系遺伝し、細胞呼吸に関わるタンパク質などの一部をコードしています。

問 85

日本における動物の安楽死に関する記述として適切なのはどれか。

  1. 全身麻酔や鎮静処置は必要ない。
  2. 治療の手段がなく苦痛の強い動物に対して選択される。
  3. 動物福祉に反する行為である。
  4. 緊急の場合は飼い主への詳しい説明が処置後のこともある。
  5. 書面による飼い主の同意は必要ない。
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正解:

解答のポイント:
日本の獣医学倫理において、QOLが著しく低下し、回復の見込みがない動物に対し、人道的な選択肢として安楽死(安楽殺)が用いられます。「動物の愛護及び管理に関する法律」や動物福祉の観点からも認められている行為です。

重要度:★
治療の手段がなく苦痛の強い動物に対して選択される。

QOLが著しく低下し、治療手段がない場合に動物の苦痛緩和・尊厳を守るための人道的な選択肢です。

問 86

猫の歴史に関する記述として誤っているのはどれか。

  1. 鼠害対策の益獣として大切にされた。
  2. 2007 年に全ゲノムが解読された。
  3. 家畜化されたのは犬より後である。
  4. 直接の祖先はピューマである。
  5. わが国では平安時代に屋内飼育の記録がある。
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正解:

解答のポイント:
猫(イエネコ、Felis catus)の直接の祖先はリビアヤマネコ(Felis lybica)とされており、ピューマ(Puma concolor)は系統的に大きく異なる大型ネコ科動物でイエネコの祖先ではありません。

重要度:★
直接の祖先はリビアヤマネコである。

イエネコの直接の祖先はリビアヤマネコ(Felis lybica)であり、ピューマ(Puma concolor)ではありません。

問 87

補助犬に関する記述として誤っているのはどれか。

  1. 補助犬とは盲導犬、聴導犬、介助犬を指す。
  2. 補助犬は全訓練期間を通じて家庭で飼養される。
  3. 盲導犬は原則として道路の左側を歩く。
  4. 聴導犬は特定の音の発生を知らせ音源まで誘導する。
  5. 介助犬にはさまざまな犬種が使われる。
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正解:

解答のポイント:
補助犬(盲導犬・聴導犬・介助犬)は、最初の社会化期はパピーウォーカー家庭に預けられますが、その後は訓練施設での専門訓練期間を経ます。全期間を家庭で飼養されるわけではなく、「一般家庭 → 訓練施設 → 使用者」と段階を経て育成されます。

重要度:★
補助犬は社会化期を通じて家庭で飼養される。

補助犬は社会化期に家庭で飼養されることもありますが、その後は訓練施設での専門訓練期間があります。

問 88

猫に関する記述として誤っているのはどれか。

  1. 狂犬病に感染する。
  2. 明け方に活発になる傾向がある。
  3. 上下運動できる空間が必要である。
  4. 現在日本での飼育頭数は犬より多い。
  5. 日本では純血種の飼育が圧倒的に多い。
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正解:

解答のポイント:
日本で飼育されている猫の多くは雑種(MIX猫)であり、純血種は少数派です。ペットフード協会の2023年調査でも、飼育猫の約7割以上が雑種であるとされています。

重要度:★
日本では雑種の飼育が圧倒的に多い。

日本では雑種(MIX猫)の飼育が過半数を占めており、純血種は少数派です。

問 89

エキゾチック動物に関する記述として誤っているのはどれか。

  1. カメの甲羅は背骨、肩甲骨、肋骨などが融合したものである。
  2. ハムスターは頬袋をもつ。
  3. ペットのウサギはヨーロッパナキウサギを家畜化したものである。
  4. フェレットは交尾しないとエストロゲン中毒をおこすことがある。
  5. セキセイインコのろう膜の色は雌雄鑑別に役立つ。
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正解:

解答のポイント:
ペットのウサギ(カイウサギ)は、ヨーロッパアナウサギ(Oryctolagus cuniculus)を家畜化したもので、ナキウサギ(Pika属)とは分類学的にも異なります。

重要度:★
ペットのウサギはヨーロッパアナウサギを家畜化したものである。

ペットのウサギ(カイウサギ)はヨーロッパアナウサギを家畜化したもので、ナキウサギとは分類が異なります。

問 90

子どもと動物が共に暮らすことで得られる一般的な効果として適切でないのはどれか。

  1. 他者への愛情をもつことを体験できる。
  2. 責任感が高まる。
  3. 言語コミュニケーション能力が高まる。
  4. 心の発達によい影響がある。
  5. 動物との死別も貴重な体験となることが多い。
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正解:

解答のポイント:
動物は言語を使ってコミュニケーションを取らないため、言語能力の発達に直接的な影響は少ないとされます。むしろ非言語的な共感や情緒の発達に寄与することが多いです。

重要度:★
言語コミュニケーション能力は高まらない

動物は言語を用いないため、言語コミュニケーション能力の向上には直接つながりません。

問 91

「マーチン法」に関する記述として正しいのはどれか。

  1. 動物実験を規制する法律
  2. 家庭動物の虐待を規制する法律
  3. 野生哺乳類の保護に関する法律
  4. 家畜の不当な取り扱いを防止する法律
  5. 自然保護に関する法律
解答を見る

正解:

解答のポイント:
マーチン法(Martin’s Act)は、1822年にイギリスで成立した世界初の動物保護法です。この法律は家畜(主に馬、牛、羊など)の虐待を防止することを目的とした内容で、動物福祉の法的出発点とされています。

重要度:★
家畜の不当な取り扱いを防止する法律

マーチン法は、馬・牛・羊などの家畜の虐待を防止するために制定された動物保護法です。

問 92

第一種動物取扱業はどれか。

  1. 肉牛の育成牧場
  2. ペット霊園
  3. 盲導犬の訓練施設
  4. 爬虫類の販売店
  5. 熱帯魚の販売店
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正解:

解答のポイント:
第一種動物取扱業は、営利目的で哺乳類・鳥類・爬虫類を販売・保管・貸出・訓練・展示などする事業が対象です(環境省「動物愛護管理法」第10条関連)。

重要度:★
爬虫類の販売店

営利目的で哺乳類・鳥類・爬虫類を販売する店舗は第一種動物取扱業に該当します。

問 93

第二種動物取扱業が取り扱う対象となる動物種と飼養頭数はどれか。

  1. 馬:2頭
  2. ウサギ:5羽
  3. 犬:20頭
  4. インコ:40羽
  5. 猫:8頭
解答を見る

正解:

解答のポイント:
【第二種動物取扱業とは】
営利を目的とせず、かつ継続的・反復的に動物を取り扱う個人・団体(主にボランティア保護活動など)が対象。
2022年6月施行の環境省令改正により、「第二種動物取扱業の対象となる動物と飼養頭数」が明文化されました。

重要度:★
犬:20頭

犬は10頭以上で基準を満たすため、第二種動物取扱業に該当します。

環境省_第二種動物取扱業者の規制

https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/trader_c2.html

問 94

わが国で飼われている犬が人を咬んだとき、一般的に加害犬の飼い主に求められる対応はどれか。

  1. 動物検疫所で 180 日間係留する。
  2. 狂犬病の有無について検診を受けさせる。
  3. 狂犬病ワクチンを接種する。
  4. マイクロチップを装着する。
  5. 動物愛護センターに連れて行く。
解答を見る

正解:

解答のポイント:
「狂犬病予防法(第5条)」および「動物の愛護及び管理に関する法律」により、犬による咬傷事故が発生した場合は以下のような措置が求められます。

◆ 咬傷事故発生時の一般的な流れ
1. 保健所へ通報(義務)
 → 医師が犬咬傷を診察した場合、「獣医師法」に基づいて保健所へ届け出ます。
2. 犬の健康観察(係留観察)
 → 加害犬は原則10日間程度の係留観察を受け、狂犬病の発症有無を確認。
 → この検診は自治体が指定する獣医師によって行われます。
3. 観察後、異常がなければ日常生活に戻される。

重要度:★
狂犬病の有無について検診を受けさせる。

犬による咬傷事故発生時は、10日間の健康観察(係留観察)と狂犬病の検診が義務付けられています。

問 95

シェルターメディスンの役割として誤っているのはどれか。

  1. 適正数の受け入れと維持
  2. 飼育崩壊など緊急時の対応
  3. 適正飼育への啓発活動
  4. 個体管理の優先
  5. 譲渡率を高めていくための支援
解答を見る

正解:

解答のポイント:
シェルターメディスンは「個体」よりも「集団(全体)」の健康と福祉の最適化を重視します。

重要度:★
集団管理の優先

シェルターメディスンは個体の治療よりも、集団全体の健康・感染管理を優先することが原則です。

問 96

犬の社会化トレーニングに関する記述として正しいのはどれか。

  1. 問題行動が出てきたら実施する。
  2. 生活に必要な社会行動を身につけることである。
  3. 動物福祉の観点から実施しないほうがよい。
  4. 社会化期が終了してからでは全く効果がない。
  5. すべてのワクチンプログラムが終了してから実施する。
解答を見る

正解:

解答のポイント:
社会化トレーニングとは、犬が人間社会でストレスなく生活できるように環境や刺激に慣れさせる訓練です。
幼犬期(社会化期:生後3~12週頃)に人・音・物・動物などに慣らすことが重要とされています。

重要度:★★
生活に必要な社会行動を身につけることである。

社会化トレーニングは、犬が人や他の動物、環境に慣れて適応するための訓練です。

問 97

教育支援犬との交流に関する記述として正しいのはどれか。

  1. 犬 1 頭に子ども 1 人の対応とする。
  2. 社会化されていない犬も参加させる。
  3. 人気犬種を選ぶ。
  4. 気温に関係なく屋外で実施する。
  5. 犬が歩行時に滑らない床材が望ましい。
解答を見る

正解:

解答のポイント:
教育支援犬(セラピードッグやスクールサポートドッグ)との交流では、犬の身体的・精神的負担を軽減し、安心して活動できる環境整備が重要です。

重要度:★
犬が歩行時に滑らない床材が望ましい。

滑らない床材は犬の足腰への負担軽減や安全な移動に重要です。

問 98

一般的なペット保険の説明として正しいのはどれか。

  1. 補償内容は農林水産省に指導されている。
  2. 対象はすべて室内飼育の動物である。
  3. 実施主体は損害保険会社のみである。
  4. 近年、契約件数が増加している。
  5. ワクチン接種も補償される。
解答を見る

正解:

解答のポイント:
ペット保険は動物の病気やケガの治療費を補償する保険商品であり、特に都市部を中心に契約件数が年々増加しています。

重要度:★
近年、契約件数が増加している。

ペット保険の契約件数は近年増加傾向にあり、都市部を中心に普及が進んでいます。

問 99

犬および猫へのマイクロチップの装着に関する記述として正しいのはどれか。

  1. 装着作業は動物取扱責任者が行う。
  2. 装着後の登録は任意である。
  3. いかなる場合も装着済みのマイクロチップを取り外してはならない。
  4. ペットショップ等で販売される個体には装着が義務付けられている。
  5. 装着証明書は自治体が発行する。
解答を見る

正解:

解答のポイント:
2022年6月施行の改正「動物の愛護及び管理に関する法律」により、ペットショップやブリーダーから販売される犬猫へのマイクロチップ装着が義務化されました(家庭で飼育されている既存の犬猫は努力義務)。

重要度:★
ペットショップ等で販売される個体には装着が義務付けられている。

2022年6月施行の法改正で、販売される犬猫にはマイクロチップ装着が義務化されました。

問 100

愛玩動物看護師の免許を受けるための欠格事由でないのはどれか。

  1. 罰金以上の刑に処せられた者
  2. 愛玩動物看護師の業務を適正に行うことができない者
  3. 愛玩動物看護師の業務に関し犯罪又は不正の行為があった者
  4. 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
  5. 獣医師国家試験の合格者
解答を見る

正解:

解答のポイント:
「愛玩動物看護師法」第5条では、免許申請時の欠格事由として、刑罰歴や業務遂行不能、薬物中毒などが規定されています。「獣医師国家試験合格者」は高度な関連資格の保有者であり、免許取得の妨げにはならず、欠格事由には該当しません。

重要度:★
獣医師国家試験の合格者

獣医師国家試験の合格者は、むしろ高度な資格保有者であり、免許取得の妨げにはなりません。

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